“お客様最優先” は、本当にお客様のためなのか

2018/10/02

“お客様最優先” は、本当にお客様のためなのか

こんにちは。三井建物 広報担当の田原です。

 

よく「お客様の立場に立って」や「お客様ファースト」などと言われますが、営業マンは本当の意味でお客様最優先で動いているのでしょうか?

ある営業マンが、新製品を片手に、「これは絶対にあのお客様のニーズに合致している」、と商品のスペックを熟知、利便性や必要性など、十二分な事前準備をして自信に満ち溢れお客様先へ訪問、お客様の欲している商品であると確信し商品の素晴らしさ等熱弁をふるいます。お客様からの反応はあったものの、結局購入には至りませんでした。それは何故でしょうか?

 

お客様ファーストとは、お客様の立場になり、お客様の視点に立つこと。

この営業マンもそれを解った上で行動し、実際にお客様も新製品をとても気に入っており、欲しいとも感じていました。そうであるにも関わらず、何故お客様には伝わらなかったのでしょうか?

 

お客様が物を買う時、それは何事も心理戦です。心が揺らいだ時、心が動かされた時に人は初めてアクションを起こします。すなわち、いくらいいと思っても、一方的な売り込みでは人は心を開かないものなのです。
 お客様のためと思い、いくら力説しても執拗に売るような販売方法では人は欲しくなくなるものです。よくセールスと恋愛は酷似していると言われますが、それと同じです。相手に興味があっても人の話も聞かず自分のことばかりアピールするような人には興味が湧かなくなるものです。

 

 では、実際営業する上で最も大事なこととは何でしょうか。

それは、“お客様8割、セールス2割”の法則です。

先ず営業マンはお客様がどんなことを望んでいるのか、どんなものを欲しているのかを知るために、現在の生活環境や家族構成など、お客様の背景や状況を把握することが先決です。自社製品のスペックや売り文句ではありません。お客様がどのように考えているのかを知ることが大事なのです。この段階では売り込むことは一切考えません。お客様先では「お客様の話を傾聴し、共感する。」ただこれだけです。
話しをする中で、自然とお客様からヒアリングすることができ、自ずとニーズが見えてくるものです。

また、お客様はいかに相手に対して信頼がおけるかを見ています。お客様に傾聴し、共感することで安心感が生まれ、やがて心を開くようになってきます。このように先ずは有効な関係性を作ることが必要です。この関係性を作るのに時間がかかることもあるかもしれません。しかし一度信頼がおけるようになるとお客様は必ず同じ営業マンから商品を買うようになります。

 

こんな話を耳にすることがあります。

「物を売らなくなったら、売れるようになった」

実はセールスとマーケティングは相反するものなのです。
セールスはその名の通り「売る」ことですが、マーケティングはお客様を理解し、「ニーズを引き出すこと」です。自分が何を売りたいかではなく、お客様が何を買いたいか、このセオリーに基づいて行動することです。

 

2011年に出版された高塚苑美さんの著書「クルマを売りたいなら、クルマの話はやめなさい」をかつて拝読したことがありますが、営業は売るものという概念が実は全く逆であり、売らない販売こそが正解であるとセールスとマーケティングの関係性に衝撃を受けました。

著書の高塚さんは現在はコンサル会社の代表でいらっしゃいますが、元々はアルファロメオのディーラーで勤務。「車の知識ゼロ」、運転もできない状態から営業を始め、「商品説明ゼロ」といった独自の営業スタイルを確立し、8年間で800台の販売を記録、フィアット販売台数全国2位、アルファロメオ販売台数全国3位へと導き、話せば売れると言われる絶妙なトークで成約率8割といった成績を収めたといいます。

商品説明ゼロを掲げるだけあって、お客様とのトークは商品の説明や売り込みなど、自社が取り扱うのが車にも関わらず車に関することはほぼ話さないそうです。そういったトークよりも、「このクルマがカフェの前に停まっていたら素敵ですよね」と、クルマを購入した後の背景やそのイメージが湧くような会話を心がけていたと言います。お客様を大好きだと感じながら、来店されるお客様との何気ない会話も大事にされているそう。これはもはや対営業ではなく一人の人としての付き合いのようです。お客様はこのような対応に安心感を持ち、心を開示するようになったのだと思います。

 

著書の中でも、セールスパーソンに大切なのは、商品説明ではなく、お客様の気持ちに「共感」することと言っています。お客様の気持ちを理解し、お客様に寄り添うことが大事であるのは勿論ですが、何より“お客様を好きになること”が最も重要なポイントではないかと思います。先述したように、セールスと恋愛は酷似しています。相手のことを好きになれば自ずと何かして差し上げたいと感じることでしょう。

セールスマンとしての視点ではなく、共通の価値観を持つ一人の人としてのお付き合い、それこそが究極の営業なのかもしれません。

 

 

 

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